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法話・説法・知識〜お盆を迎えて

「お盆を迎えて」〜臨済宗方広寺派管長 大井際断

春は花、夏ほととぎす、秋は月、冬雪さえての浜松の朝は、洵に天下泰平である。海晏河清、ほととぎすなきつる方をながむればただありあけの月ぞ残れる。
又、本年もお盆が近づいて来た。一子出家すれば九族天に生ず。何によってか、目連の母、地獄に落つと。の有名な禅問答がある。吾々の母は特に大切な人であるのに何故地獄におちるか、洵に悲しい。

この為その救いの為是非ともお盆の法要をつとめねばならない。これが仏の教である。然し、昔から棄老伝説にもある通り、世 間は口へらしの為、老母を背負うて山へ捨てに行く習慣があった。しかし、太郎はその習慣を破って母を自家へつれもどす。日本のアンティゴネである。老母の 末後を最后まで大切にする葬祭の儀式により、人々は完全に人生を全うすることが出来るのである。山に捨てる風葬は、決して許されない。何事も末後を大切に 処理する覚悟が肝要である。 昔々、古代ギリシャに於て、テーバイの国王オイディプースは、スフィンクスの謎を解いて征服し自ら王位についたが、父王と知らずに、道中にて出会い争いを起して遂に父を殺し、自分は母と知らずにその人と結婚してアンティゴネという娘を得た。
晩年アンティゴネは、盲目となった父に従い諸国を放浪し、叔父の新王クレオンの禁令に背いて、戦死した兄の遺体を埋葬した為幽閉されて自害する尊い姿を吾々に示している。

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